はじめに ─「コンサータって、ヤバい薬じゃないの?」
「コンサータって飲むとテンション上がりすぎるって聞いたけど、大丈夫なの?」「依存性とかないのかな?」
ADHDの診断を受けたとき、ぼくはそんな疑問と不安で頭がいっぱいでした。ネットで性格が変わると見たこともあり、薬を飲むことで、自分が自分じゃなくなるんじゃないか。そんなふうに感じてしまったこともあります。
でも、医師に相談して、実際にコンサータを処方してもらい、何日も飲みながら自分の変化を観察していくうちに、少しずつそのイメージは変わっていきました。
今回は、そんなぼくの「コンサータとの付き合い方」を、できるだけリアルに、正直に書いてみたいと思います。
コンサータってどんな薬?
「朝1飲んで一日中集中できる」ってほんと?
コンサータは、「メチルフェニデート」という成分を使った中枢神経刺激薬です。ざっくり言えば、脳の一部をシャキッとさせてくれる薬。朝に1錠飲めば、約12時間ほど効果が続くとされています。
コンサータ患者用のカードが作られ、これがないと入手できません。管理がとても厳しいので一か月ごとにその月の分までしか処方してもらえません。そして、同じADHD治療薬でも「ストラテラ」や「インチュニブ」などとは作用の仕方がまったく違います。

「コンサータ=覚醒剤」じゃない理由
ネットで検索すると、「コンサータは覚醒剤と成分が似ている」といった情報を見かけます。たしかに化学的に近い構造ではあります。でも、医療現場での使い方はまったく別物です。
たとえば、依存を避けるために処方や管理が厳しくされていたり、12時間以上かけて溶けるなど体への吸収のされ方を調整する構造があったりと、安全面に配慮されて設計されています。
「危ない薬じゃないの?」と身構えていたぼくも、医師からこうした説明を受けて、かなり安心できました。
飲んでみた初日のこと
頭が“かーーーっ”と熱くなるような感覚
最初にコンサータを手にした日の朝、「ぼくはつらい症状がなくなる!」と、とても期待していました。多少「もし副作用が出たら?」「変なテンションになったらどうしよう?」と、不安もありました。
初めて薬を飲んだ日は、すごく衝撃的だった。頭が“かーーーっ”と熱くなるような感覚で、一気に目が覚めた。眠気が一瞬で消えて、頭の中が静かになって、集中できる感じがした。
「あ、これが普通の脳の働きなのかも」とさえ思った。
でも、それはほんの一瞬だった。
しばらくすると、発熱、吐き気、頭痛、そして心臓がバクバクして、落ち着いて何かをやれる状態ではなくなった。体はそわそわしてるのに、何も手につかない。とにかくしんどかった。カフェインの過剰摂取にも近い感じだった。
ネットで調べると「副作用は最初の1週間くらいがピーク」と書いてあったので、それを信じて一週間だけは頑張ってみようと思った。
毎朝飲むたびに不安になったけど、「これで生活が少し変わるなら」と自分に言い聞かせた。
一週間後の変化
一週間続けてみて、副作用は少しずつマシになっていった。頭痛や動悸は減り、あの初日のような“かーっとした覚醒感”はなくなったけど、その代わりに「ゆるやかに集中できる」感じが出てきた。
たとえば、朝起きてからの行動がスムーズになったり、ひとつのタスクに取り組むときに「余計なことを考えすぎずに済む」ようになったり。
まだ波はあるけれど、確実にあのぐちゃぐちゃした頭よりは整理されていると感じている。
1年間飲み続けて変わったこと
心と体の変化がはっきりと現れた
この1年間、コンサータを飲み続けて、ぼくの中にはいろんな変化がありました。まず、副作用としては、心拍数が上がるのをよく感じます。それから、月に数回、原因不明の発熱が出ることがありました。
薬の効果が切れる夜には、急激にエネルギーがなくなり、何も手につかなくなります。まるでスイッチが切れたみたいに、頭も体も動かなくなる。だから、週に一度は休薬日をつくっています。
でも、その休薬日は逆に一日中寝てばかりで、頭が重くてだるくて、脳にもやがかかってるような感じ。何もできず、ただ時間だけが過ぎていきます。
でも、脳が“静かになった”ことで見えたもの
それでも続けて飲んできた中で、確実に変わったこともあります。たとえば、部屋が散らかっていること、人間関係で気まずくなっていたこと、そういった「自分の周りの現実」が少しずつ認識できるようになってきました。
前は何も見えてなかったんです。本当に、ただ毎日ぼんやりしていた。でも今は、「これを片づけよう」とか、「あの人にLINE返そう」とか、小さな行動を自分で決めて動けるようになりました。
計画・行動・集中力──“できる”自分を取り戻せた
特に大きかったのは、計画を立てやすくなったこと。やることをリストアップして、1つずつ取りかかる──そんな当たり前のことが、ようやくできるようになったんです。
課題にも集中できるようになりました。薬を飲む前は、座っていることすら難しくて、問題文を最後まで読む前に集中が切れて、何度も最初から読み直していました。でも今は、最後まで読んで、考えて、答えを書くことができる。
これだけでも、ぼくにとってはすごい進歩でした。
性格が変わった?そう感じるほどの変化
自分でも驚いているのは、性格まで少し変わったように感じていることです。
以前は、ちょっとしたことで癇癪を起こしてしまうことが多かったけど、薬を飲んでいると「あれ?なんであのときあんなに怒ってたんだろう」と思えるんです。
自分のことを少し客観的に見られるようになったからこそ、感情の波にも距離を置けるようになった。これも、コンサータの大きな効果のひとつだと思います。
変わったこと・変わらなかったこと
集中力は確実に上がった。でも…
課題にも取り組みやすくなったし、人の話も最後まで聞けるようになりました。飲む前は人の話を聞いてる最中に脳内マジカルバナナが始まって何も聞けませんでした。
それでも“気分の波”まではカバーできない
ただ、やる気のなさや気分の落ち込みには、正直あまり効きません。どれだけコンサータを飲んでも、「今日は何もしたくない」という日もあるし、「うまくいかないなあ」と落ち込むこともあります。
コンサータはあくまで“集中力の支援ツール”。それ以上を期待しすぎると、逆にがっかりしてしまうと思います。
“効いた日・効かない日”の違い
効いてる日は「気づいたら終わってた」感覚
ぼくにとっての“効いてる日”は、集中しようとしなくても自然に課題に取りかかれて、「あれ?もう2時間経ってる!」という日です。集中力が滑らかに続いて、変な焦りもなく、静かに作業できる感覚。
「これが普通の人が感じている日常なのかな」と思えるほど、スムーズな感覚です。
効かない日は「頭がガサガサ」してる
ただし、毎回そううまくはいきません。寝不足だったり、前日に疲れが溜まっていると、「なんか今日はぼーっとしてるな」と感じることもあります。
それでも、コンサータを飲む前の“脳内カオス状態”に比べたら、まだマシなことが多いです。過眠症ということもあり飲まないと起きてられず何もできないので効果はあります。
毎朝のルーティンに組み込んでみた
ぼくは、コンサータは「飲むべき日だけ飲む」ようにしています。たとえば、講義やレポートのある日には飲むけど、1日中引きこもる予定の日はお休み。
飲む時間は薬の効果が続く12以上続くので睡眠のことを考えて午前中です。空腹時に飲むと副作用が出やすいことに気が付いたので朝ごはんのあとに飲むようにしています。薬を飲む前なので朝ごはんの準備ができないので買っておいたバナナを食べています。
“薬に頼ること”を責めなくていい
以前のぼくは、「薬に頼るなんて甘えじゃないか」と自分を責めていた時期もありました。でも今は、薬を使って生活がちょっとでも楽になるなら、それは“自分を守る手段”なんだと思っています。
まとめ─不安だったぼくへ、これからのあなたへ
コンサータは、たしかに強めの薬です。でも、それは「強くなるための薬」じゃなくて、「自分の輪郭をはっきりさせてくれる薬」だと、今のぼくは感じています。
服薬に不安があるのは、すごくよくわかります。ぼくだって、初めて飲むときは不安で仕方なかった。でも、その一歩を踏み出したことで、少しずつ自分のペースがつかめるようになりました。
この記事が、同じような不安を抱えるあなたにとって、ちょっとした“安心材料”になれたら嬉しいです。
もしなにか気になることや不安なことなどがあればコメントください。役に立ちたいです。
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